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「ひ、な……?」
「かい、ちょっ……会長、」
意識が戻らない日向を俺の部屋に移して、1時間後のことだった。
日向が目を覚まし、俺にしがみつくように腕を回している。
震える華奢な背中に手を回すことさえ躊躇われて、ただ俺は戸惑うばかりだった。
「……もう、大丈夫だ」
「っ、ぅ、……かいちょ、がっ……」
「?」
「かいちょう、が……いいっ……」
「……え?」
ぎゅうぎゅうと抱きついてくる日向。
声は涙で震えていた。
突然の言葉に、俺は反応できずにいた。
「ひな、何言って」
「かいちょ、がっ……かいちょうが、いい……」
舌ったらずなそれに、俺の思考回路は完全に停止してしまっていた。
「怖っ……かった……いや、でっ……かいちょう、が、いい……」
「ひな、」
「っふ、ぇ……」
脆い日向を壊してしまわぬよう、俺はそっと細い背中に手を回した。
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