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side.日向



生徒会室から購買までは、階段を降りて廊下を渡ってすぐだった。
僕はいつものように階段を降り、人気の少ない廊下を歩いた。
生徒会室がある校舎は隣の教室棟とは違って、授業以外で立ち寄ることはほとんどない。
放課後の今であれば尚更だった。

早く会長に渡そう。
手早く購買で会長のコーヒーと僕のココアを買って、来た道を戻った。
無意識に早歩きになって、



「っ!」



ぐん、と腕を引かれた。
暗い教室の中に引きずり込まれ、僕はそのまま床に叩きつけられた。
からんっと缶が床に落ちる音がして、僕は身体に感じる鈍痛で顔をしかめた。



「な、に……?」
「……書記くんさぁ、最近でしゃばり過ぎじゃない?」



暗闇の中、ぱっと携帯の明かりで顔を照らされて、目が眩んだ。
逆光で相手の顔がよく見えない。
ぐいっ、と襟首を捕まれた。



「可愛い顔して。誑かしてるの?」
「っ……ちが、」
「でも遅いよ。僕たちを怒らせたからね」



携帯の明かりが遠退いて、襟首を離された。
突然の解放に力が抜けたところで、両腕を捕まれ床に押しつけられた。
明らかな力の強さは、さっきの細い腕とは違うもの。



「大人しくしてろよ」



熱のこもった声に、僕は鳥肌が立つのがわかった。



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