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「……どうだ、様子は」



ドアが開いて、カーテンの向こうで化学教師の皆川先生の声がした。
満月先生が出ていき、対応した。



「今は寝てる。そんなに怪我はひどくない」
「……よかった」



安堵の声が聞こえ、俺もわずかながら安心した。
突然しゃっ、とカーテンが開いた。



「瀬川」
「……皆川先生」
「……大丈夫か」
「見ればわかるでしょう、」
「いや、お前がだ」



相当切羽詰まった顔してんぞ、と言われ、俺は少しだけ皆川先生を睨んだ。



「まぁ……お前を責めるわけじゃないんだが」
「……?」
「楠本を襲った奴は2人。1人は見ていないが、もう1人は……お前の親衛隊とかいうやつだと思う」



派手に動いてたのを一度見たことがある、と皆川先生は続けた。

俺は親衛隊なんぞどうでもいいし、勝手に作られたもので放っていた。
生徒会役員なら誰もが作られる、いわば伝統みたいなものだと思っていた。

その親衛隊が、日向を?
何故狙われた?

何で一人にさせた?
一緒についていかなかった?

何で?
何で?
何で?

後悔しても時が戻らないことは、痛いほどわかっていた。



失くしたものは、傷ついたものは、二度と戻らない。



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