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「っ……ひな、」
「理科実験室に引きずり込まれて、やられたみたいです。皆川先生が第一発見者で、五十嵐くんは偶然保健室に来ていたところでした」



日向は白いベッドに寝ていた。
投げ出された腕には痛々しく包帯が巻いてあり、口の端も切れてしまっていた。
大きな外傷はなかったけれど、身体の傷はあまりに痛々しすぎて。



「……それと、これは五十嵐くんには黙っていたのですが」
「………?」
「加害者に、性的暴行を加えられた可能性があります」



ぎり、と奥歯が鳴るようだった。

眠る日向が着ているのは保健室の予備なのだろう、ジャージで。
制服が着られる状態ではなくなったことが予想できた。



「くそ、っ」
「……身体の方は綺麗にしておきました。が、目を覚めたときにどうなるか」



満月先生の目など気にせず、俺は日向の額を撫でた。
何事もなかったかのように眠るその顔は、いつものそれとは変わりなくて。



「なんで……んなことに、」



傍らにあった、へこんだ缶コーヒーとココアが、つきりと胸に刺さった。



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