4
ベッドに座らされ、次は前を拭かれた。
恥ずかしいのか、日向の顔は少しだけ赤かった。
「……はい、終わりです」
「……悪いな」
「いえ。……服着たら、またゆっくり寝て、んっ」
堪らなくなって、唇を寄せた。
貪るように重ねた。
大切にしたくて、愛おしくて、でもきっと、俺のモノにはならない。
背中の傷も受け入れる日向の優しさを、今だけは、俺のモノにしたかった。
「泣……いて……?」
「ねえよ」
嘘。
泣いていた。
それを隠すように、何度も何度も、キスをした。
少し塩辛いそれは、日向にも気付かれたであろうけど。
「………ふ、ぁ」
口を離すと、鼻にかかった甘い声が聞こえた。
このまま押し倒したい衝動をこらえつつ、らしくないとは思いながらも、強く日向を抱き締めた。
「背中の傷、何も、思わないのか……?」
「え……」
自分で聞いておきながら答えが怖くて、抱き締める力を強めた。
前へ top 次へ