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side.日向



コップを台所に片付けて、もう一度寝室を覗いた。
会長は寝息をたてていて、暑いのか少しだけ汗をかいていた。

後で着替えたがいいかも、と思いながらそっと近づき、ずれ落ちそうな寝具を掛けなおして、



「え……?」



つ、と。
会長の目尻から涙が一筋流れた。

びっくりした。
会長は泣かない人だから。
そんなに熱で苦しいんだろうか。



ふわりと、頭を撫でた。
心なしか少しだけ、表情がやわらかくなった。

愛おしくて、切なくて、哀しくて、色んな感情が巡った。
この感情の名前を、僕は知らない。



ただ、いつも僕を手酷く扱う会長の傍にいたいと思った。

これが好意、なのかは定かではない。
虐げ方を見ても会長は僕を明らかに嫌っているし、僕が好きになるのもおかしい。

でもさっき、はっきりと聞いた言葉は、なんだったのだろうか。



あれは寝言かもしれない。
聞き間違えだったのかもしれない。



今ではなく、3年前の感情だったのかもしれない。
その真意は、僕にはわからなかった。



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