5
 

夢の中で見たのは、3年前の懐かしい記憶。
今はない、失われた過去。
日向にとって俺はどんな存在で、俺にとって日向がどんな存在だったのか、今はもう、関係ない。



突然の別れだった。
俺と、1つ年下の日向は近所同士であり―――付き合ってはいなくとも、それに近い関係だった。
不器用な日向の俺に対する感情はバレバレだったけど、鈍感な日向が俺の感情には気付いていたかは定かではない。



ずっとこんな毎日が続くと思っていた。

一緒に学校行って、遊んだり、勉強をしたり。
こんな平和な生活が、ずっと続くと思っていた。
明らかな友達以上の距離の中で俺たちは過ごしていたのに、それはあっという間に壊れた。



突然に、日向はいなくなった。

一家でどこかに引っ越した。
携帯も変えられて、連絡がつかなくなった。

日向は引っ越しを嫌がり、辛くて俺に言えず、隠れて泣いていたのだと伝で聞いた。
俺は何も、気付いてやれてなかった。

結局引っ越しの事実も、俺への別れの言葉もないままに、黙って行ってしまった。



そして3年後、偶然高校で出会った日向には―――俺の記憶がなかった。



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