3
目を覚ますと、自室だった。
記憶を辿っても、日向を連れ込んだあたりでうやむやになっていた。
ベッドから降りるとふらついて、ようやくそこで熱があるのだと気付いた。
熱い額に手をあてながら、傍らにあるデスクに座った。
今日中に仕上げなければいけない書類がある。
パソコンを起動させて、
「なっ……何やってるんですか!」
「………え?」
部屋の入口に、水が入ったコップと薬を持った日向がいた。
乱暴にそれらを机に置いて、俺の袖を引っ張った。
「馬鹿ですか!?40度も熱あるんですよ!?大人しく寝てください!」
「いや……でも」
「仕事は副会長に引き継ぎました!ほら、こっちに」
熱で頭がよく回らない。
言われるまま、されるがまま、ベッドに潜り込んだ。
テキパキと動く日向をぼんやり見ながら、母親みてえ、とか思いつつ。
「これ、満月先生から頂いてきました。飲んでください」
薬とコップを差し出された。
ゆっくりと上半身を起こして、傍らの日向を見つめた。
「……飲ませて」
「……はい?」
「嘘」
何言ってんだ、俺。
頭がぼうっとして敵わない。
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