5
「なっ……会長、」
そこでようやく普通の仕事話ではないと気付いたのか、日向はさっと青ざめた。
「随分と五十嵐と仲が良いな」
「えっ……同じクラス、だし、」
「不愉快だ」
「いッ……」
ぎり、と腕を掴む手を強くすると、日向は痛みに顔を歪ませた。
「なんっ……なんで、」
「不愉快なもんは不愉快だ」
「っあ……」
さっきまで五十嵐に触られていた、脇に手を伸ばした。
服の上からではなく、直に肌を触った。
「かいちょ、には……関係、なっ……」
ああ、言葉が足りない。
俺も同じように、楽しく話たいと。
名前を呼び合いたいと。
好きだから―――他のやつに触られるのは嫌だと。
言えれば、いいのに。
「関係ない?生徒会室で生徒会長が不愉快な思いするようなことしてんのにか?」
――違う。
「まだわかんねえみたいだな」
―――こんなことが言いたいんじゃない。
「思い知らせてやるよ」
――また、俺たちは、すれ違う。
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