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side.日向
「日向も大変だねぇ」
「うーん……」
注ぎに行く途中で司が耳打ちした。
悠、なんかおかしいんだ。
「あ、ポッキーあげる。はい、あーん」
「あー……」
司が食べていたポッキーを一本差し出してくれて、
「ん、うっ!?」
ぱっ、と口を塞がれて、目の前のポッキーが消えた。
……隣で悠が、口をもごもごさせている。
「ふぅぅー!うー!」
「なに道草食ってんだ」
「なにー、悠、ヤキモチ?」
「……飲み物はもういい。帰るぞ」
「えっ、やっ、わぁっ!」
なに、と思っている間にひょい、と肩に担がれた。
横暴だ!
「やーっ!おろして!」
「じゃ、お疲れさん。判押した書類は机にまとめてるから、後は裕二よろしく」
「はいよ」
「やー!」
ばたばたもがいたら、ぺちっとお尻を叩かれた。
痛くはないけど、なんだか恥ずかしい。
悠はなんの躊躇いもなく廊下に出た。
「や、おろしてぇっ」
「………」
「行かないから、ねっ……」
「………」
悠は黙って僕をおろして、代わりに手をひいて、部屋まで戻った。
……まだ目立つけど、マシかな。
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