5
side.日向
する、と背中に回った僕の手に、違う感触が触れた。
ざらつく、乾いた皮膚の感触。
びくっと先輩が震えた。
「……あ……」
知ってる。
この、火傷の跡。
『ゆう、ここ、どうしたの……?』
中学生の僕。
泣きぼくろの、あなた。
「……兄貴に、」
「………そっか」
「……なんとも、思わねぇの……?」
声が、重なる。
「背中の傷、なんとも、思わないのか……?」
暗い部屋。
いつもより体温が高い彼が、僕を抱き締める。
不安そうな、弱々しい声。
「自分を隠そうとしないでください……」
僕は言う。
会長は、会長。
ゆうは、ゆう。
僕は、
―――僕は、僕?
「ひな………?」
はっとすると、悠が心配そうな顔をしていた。
その頬に触れて、唇を寄せた。
「ゆう……っ!」
やっと、見つけた。
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