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side.日向



長い夢を、見ていた気がする。



楽しかった、中学時代。
いつも一緒にいた、泣きボクロの少年。
大好きだった。
純粋に、一緒に、いたいと思った。

離れ離れになった。
悲しくて、別れも言えないまま。
僕は少年を、忘れてしまった。



「……ごめん……」



誰の声?
わずかに少年と似た、けれどもっと、低い声。



「好きだ……」



愛しむような、優しい声。
頭を撫でる、温かい手。
あなたは、あの時と同じ―――。



「………ひな?」
「……あ……」



目を覚ますと、瀬川先輩の顔があった。
泣きそうな顔は、いつもと違うそれ。

なんの夢を、見ていたんだっけ―――?



「ごめん、楠本……俺、」
「せんぱい、」



夢の中の誰かが、叫ぶ。
誰かが、僕を動かす。



「え……?」



驚いたように、先輩の身体が固まった。
僕は咄嗟に身体を起こして、首に腕を回して抱きついていた。



「……て、……く、ださ……」
「なっ……」



誰かが、求める。



「シて、ください……」
「………!」



先輩の手が、ゆっくり、背中に回った。



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