4
 

その日、日向は俺より先に帰宅していた。



「お、おかえり、なさい……」
「……ん」



ソファに座っていた日向が立ち上がって、キッチンへと走り去った。
いつものように、飲み物か何か取りに行ってくれたんだろう。
俺は荷物を置いて、制服のネクタイを緩めていたら、



「っ!?」



がちゃん、と穏やかではない音。
嫌な予感がしてキッチンに行くと、日向が真っ青な顔をして口元を押さえ、床に座り込んでいた。



「なっ……大丈夫か、っ」
「っ……ごめ、なさ……ふらついた、だけ……」
「ちょっ、」



立ち上がろうとした日向は、尚もふらついていて。
咄嗟に抱き止めると、ぐったりと身体を預けてきた。
そのまま抱き上げてベッドに寝かせると、未だ真っ青な日向の顔が伺えた。



「っ……」
「待ってろ、先生呼ぶから」
「っ、は」



小さく浅く息をする日向は、何だか痛々しかった。
携帯はすぐに満月先生に繋がり、今から行くとのことだった。



「せん、ぱ……」
「ん、もうちょっと我慢しろ」



頭を撫でてやった。
少しだけ日向の顔が和らいで、こんな落ち着いた顔久しぶりに見たなと、ぼんやり思った。



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