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side.日向



どうしてだろう。

もういいや、って。
そう、思ってしまった。



「っ……」



肌を撫でる血の感覚。
噛み付かれて、引っ掻かれて、抉られた。
喉仏に歯をたてられて、ぞくりと背筋が凍る。

それでも僕は、もっと、と思ってしまう。



「……いっ……!」



痛い、
身体が痛い。
もっと、心が、痛い。

そんな泣きそうな顔して、傷跡をつけないで、



「せん、ぱいっ………」
「っ………」



そんな顔をさせるなら。
僕のせいなら。
いっそ、殺してくれたらいいのに。

これっぽっちも残ってない先輩の記憶。
ただ感情だけが、黙って悲鳴を上げた。



「っ……俺のこと、嫌いか」
「……わか、ない……」
「………」
「でも、悲しい……」



そんな顔をさせることが、悲しくて仕方がない。

先輩は苦しそうに顔を歪ませて、僕の首に手を、 かけた。



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