5
すぅ、と寝息をたてる日向の頬を撫でた。
残った涙の跡が、少し消えた。
「……ん……」
あれから泣くだけ泣いて、疲れたのか眠ってしまった。
俺のベッドに運んで、今に至る。
どうしたらいいんだろう。
無理矢理思い出させる?
どうやって?
もう一度、恋人になれるように……?
できるのか、あんな怯えてて。
「………」
無意識に、きゅ、と握られた手の温もりだけが、俺の救いだった。
たまらなくなって、唇を寄せた。
何度も何度も、啄むように繰り返した。
「……ん、ぅ……」
手の力が強くなる。
そうやっていつも、俺を求めればいいのに。
俺だけに、縋ればいいのに。
狂って歪んだ独占欲。
駄目だとわかっていても、止まらない。
「っ……あ、」
鎖骨に噛み付いた。
日向が起きてしまったのがわかったけれど、止められなかった。
このまま、死んでしまえばいい。
「い、たぁっ……」
「………」
俺の手で、殺してやりたい。
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