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怯えて離れたと思ったら、泣いて謝りだす。
日向の中で、いっぱいいっぱいなんだろう。
記憶が無くなって不安なのは日向で。
俺がいなくなったってだけで、日向はいつも通りに過ごせる。
昔の記憶を引き出そうとして、不安がらせてるのは、俺だ。
「せん、ぱ……」
「………」
忘れてなんて、言うなよ。
「んっ……」
怯えさせないように、そっと触れるだけのキスをした。
日向は驚いたように目を見開くから、そのまま頬の涙を指で拭った。
「あ、の……?」
「……俺だけでも、覚えてていいか」
「え」
怯えないのを確認して、壊さないように抱き締めた。
日向の鼓動が速いのがわかる。
「お前が忘れても、俺は……好きだから」
「っ………」
「……今まで、ありがとな」
これでもう、おしまい。
なのに、
「ふ、ぅっ……うー……っ」
なんで、そんな泣くんだよ。
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