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もう駄目だろうな、と思う。
明らかな怯えは、俺を拒絶している証拠。
日向が怪我をしたのも。
日向が記憶を無くしたのも。
全部、俺のせい。
もう、遅い。
「……あ、の……」
「っ……悪い」
無意識に、日向の頭に手をやっていた。
髪の毛に隠れているそこは、傷口は塞がっているけれど、消えない傷痕ができていて。
「痛かった、よな」
「………」
「ごめん」
何度目の謝罪だろう。
許されるはずもないのに。
「あんまり、覚えてないので………痛く、なかったです……」
「……そうか」
それは幸運か、それとも。
するりと頬に手を滑らすと、びくっと日向が揺れた。
「っ……なに、っ」
「……ごめん」
それ以上何もできずに、手を離した。
ずっとこんな感じだ。
触れることさえ、ままならない。
「……それ飲んだら、部屋戻るか」
「……はい……」
息苦しい。
日向がこの部屋を出て行ったら、もう、俺たちは、
「っ……?」
突然、日向が俺の手に触れてきた。
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