6
side.日向
やだ、やだやだやだ。
この人、こわい。
雰囲気が怖い。
目が怖い。
殴られそう。
付き合ってたなんて、嘘だ。
おとこ同士、だし。
何より、僕のこと好きじゃない、みたいで、
「ん、っ……」
突然、キスされた。
気付いたら視界が反転した。
ぽすんと背中が柔らかなベッドに触れた。
「忘れてんじゃねぇよ」
低い、底冷えする声。
「やっ、あ……痛っ……!」
首元に顔を埋められて、ガリッと嫌な音がした。
じんじんと、鼓動に合わせて熱がこもる。
「ここも、ここも、俺がつけた」
指で鎖骨やらを押され、骨が軋んだように痛んだ。
「また、つけてやる」
目が、
「や、やあぁぁっ……!」
誰か、助けて。
こわい、
「ふぇっ……う……っ」
僕はこの人、好きじゃない。
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