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かさかさと、コンビニの袋が廊下で鳴った。
もうすぐ夕方になるところで、窓の向こうで部活動を終えた生徒たちが帰っていくのが見える。
生徒会室に入ると、デスクに突っ伏して寝ている日向がいた。
買ってきた日向の好物のプリンを冷蔵庫に入れ、備品のブランケットを肩からかけてやった。
すぅ、と寝息をたてる日向の頭を撫でてやると、
「お前も報われないな」
「……いたのかよ」
生徒会室の入り口に、寄りかかった裕二がいた。
起こさないようデスクから離れて、俺と裕二は奥のソファに座った。
「仕方ないだろ、記憶がないんだから」
「……残酷だな」
意識しないようにしながらも、吐き出すように言ってしまった。
「昔仲良かったんだっけ」
「まあな。……日向ん家が転勤族で、引っ越してから音信不通になったけどな」
「同じ高校になるとかすごい偶然だな」
「俺もびびった」
裕二が笑って言ってくれて、俺は心が和らいだ。
「片想いのまま別れて……再会したら記憶がない、か」
「………」
「……辛くないのか」
珍しく、裕二が真剣な顔をした。
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