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授業が終わって、生徒会室へ向かう。
3年は補習があって、他の学年より終わるのが遅い。
生徒会室にはとっくに誰かがいるはずで、
「日向、大丈夫だって」
中に入ろうとした瞬間、五十嵐の声がした。
あと、日向の泣き声。
ぴた、とドアにかけた手が止まる。
「で、でも……」
「大丈夫、俺もいるし」
「………」
「会長にちゃんと言いなよ?」
「……つ、司にしか、言えないよ……」
俺には言えない?
五十嵐には言えるのに?
かっとした。
「!」
「会長!」
断りもなくドアを開ける。
驚く声を無視して、日向の腕を引いた。
五十嵐の声が後ろから聞こえたけど、お構い無しだった。
「な、なにっ……」
人気の少ない、屋上。
建物側に日向を追いやり、両手を壁について拘束した。
「お前さ、俺と別れたいわけ」
「え……?」
「五十嵐とべったりしてるし、つか、俺に言えない事って何」
「っ、聞いて」
「立ち聞きする気はなかったけど、聞こえた」
日向は混乱と恐怖と悲しみと、いろんな表情をしていた。
一気に目に涙が浮かんだ。
「どうなんだよ」
「ちが、っそれは」
「何が違うんだよ、泣いて済むと思うなよ」
「っ……」
―――誰のもんだと思ってる。
歪んだ独占欲が、顔を出した。
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