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「あ、2人さっき見てたよ、サッカー」
裕二が何もなかった風に、ぱっと手を離した。
体操服のままの2人に、いつものように話し掛ける。
「わ、恥ずかしい!」
「楽しそうだったー。……もう終わり?」
「あ、いや、更衣室に忘れ物して」
「先輩たちは?もしかして、さぼりですか?」
「……ま、そんなとこ」
裕二がちらっとこちらの顔を伺った。
それに気付いたのか、日向もこちらを見る。
不安そうな、泣き出しそうな、そんな顔。
……なんつー顔してんだ。
「あ、俺たち早く戻らないと!行こ!」
「う、うん」
五十嵐がぱっと日向の手を取って走りだした。
日向は、ひかれるまま。
「……もしかして」
「………」
「気にしすぎだって……」
裕二がぺし、と頭をたたいてきた。
それに少しは気が楽になりながら、それでも、気持ちは晴れなかった。
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