3
 

「あ、2人さっき見てたよ、サッカー」



裕二が何もなかった風に、ぱっと手を離した。
体操服のままの2人に、いつものように話し掛ける。



「わ、恥ずかしい!」
「楽しそうだったー。……もう終わり?」
「あ、いや、更衣室に忘れ物して」
「先輩たちは?もしかして、さぼりですか?」
「……ま、そんなとこ」



裕二がちらっとこちらの顔を伺った。
それに気付いたのか、日向もこちらを見る。

不安そうな、泣き出しそうな、そんな顔。
……なんつー顔してんだ。



「あ、俺たち早く戻らないと!行こ!」
「う、うん」



五十嵐がぱっと日向の手を取って走りだした。
日向は、ひかれるまま。



「……もしかして」
「………」
「気にしすぎだって……」



裕二がぺし、と頭をたたいてきた。
それに少しは気が楽になりながら、それでも、気持ちは晴れなかった。



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