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「日向、はい、あーん」
「……んう」
「おいし?」
「おいしいー初めて食べた」



生徒会唯一の2年生、日向と五十嵐司。
同じクラスだという2人は仲が良い。
昼休みの今も、ソファに座ってお菓子を食べている。



「なに、俺にもちょーだい」
「羽鳥先輩」



はい、と五十嵐が裕二にお菓子を渡した。



「あ、これおいしー……って悠、顔怖い」
「え」
「眉間に皺。仕事、大変なの?」
「……いや」



パソコンに向かってはいるものの、仕事はしていない。
ただ、なんとなく、こう……煮え切らない感情があって。



「あ、次体育じゃん。早く行って着替えなきゃ」
「わ」
「行こー日向」



お疲れ様です、と行って慌ただしく2人は出ていった。
ドアが締まる寸前、ちらりと日向が心配そうにこっちを見ていた。
……仕事大変そうとか思ってるんだろうか。



「どしたの、機嫌悪いね」
「別に」
「顔に出てるっての!」



裕二は半ば心配、半ばからかいみたいな風で、俺も苦笑してそれを流した。
裕二は俺の親友で、だけど、言えない事もあって。



―――今みたいな、格好悪い嫉妬も。

五十嵐は、日向をどう思っているんだろう。
俺達の関係は知っているはずだけれど。
気のせいだと思っても、なにか、ひっかかってしまう。



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