5
 

side.日向



「俺がこんなことするのは変か」



変、ではないけれど。
いつも甘やかすことって、少ないなぁと思うから。
今もやわやわと、頭を撫でている。

何考えてるんだろう、とじっと顔を見ていたら、



「っ………!」



悠が柔らかく、笑った。
ひどく優しそうなそれは、今までにあまり見たことがないそれで。
普段は笑うことはあっても、苦笑に近いものが多かったから。



「わ、わ……」
「?なに、」
「もっかい、もっかい見たい、」
「?」



懸命に説明したら、悠の頬が微かに赤くなった。



「ばっ……何言って、」
「もっかいー」
「しねーよ、ほら、帰るぞ」
「………」
「拗ねるな」
「……じゃあ、もっかい、ちゅー……」



ぷっと苦笑されて、でも、優しくキスしてくれた。



「……すき」
「はいはい」
「悠はっ?」
「……すきだよ」



ほんの少し前まで、身体だけの関係だったのが嘘みたいだった。
好きで、好きで、ずっとこんな日々が続けばいいなぁと思った。



幸せは長くは続かないって、嘘だと思ってた。



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