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春が来て、夏が来た。
やがて秋が来て、冬が来た。

何度も季節が巡って、和泉はぐんと大きくなった。
僕のもとにやってくる回数も少なくなった。

身体の傷は相変わらずだったけれど。
ガリガリと痩せた身体は相変わらずだったけれど。
僕よりも大きくなった背と、広くなった背中。
ひょろりとした風貌で、僕と夜明けを待った。



「あんた、歳を取らないんだな」
「僕は神様だからね。和泉は、どんどん歳を取るね」



ほら、早く名前を呼ばなくちゃ。
和泉、早く、僕の名前を呼んで。

僕と遊べる時間はもう少ししかない。
和泉が大人になってしまう前に。
大人になったら遊べない。

僕の名前を、その甘い声で、呼んで。



「明日、ここを出る」



出会った頃よりも随分低い、けれど甘さは変わらない声で、和泉は行った。



「そういう約束だった。十八になったら、家を出て行くって」
「出て行く」
「もう、ここには来ないよ」



ふわ、と頭を撫でられた。
僕と比べなくてもわかる、とっても大きくなってしまった手は、燃えるように熱い。
僕が冷たいから、熱いなぁって、思うんだ。

僕が、人間じゃないから。

だから、和泉は行ってしまうの?



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