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「力で勝てると思ってんのか」
ぐい、と引っ張ってやると、あっさり布団は剥ぎ取れた。
「……なに泣いてんの」
やはり、と言うか、案の定、と言うか。
綾は大きな目にいっぱい涙を浮かべていた。
「っるさい、」
「……仲良いから、やきもちやいた?」
「るさい、うるさいっ!」
ぶん、と綾が拳を振り上げるから、叩かれると思った。
けれど、痛みはやってこなくて。
きゅ、と俺の胸元をしっかり掴んでいた。
「っ、う、ぅーっ……」
「どうしたの、お前」
やきもちにしては、大泣きすぎる。
抱き上げて膝に乗せ、ぽんぽん、と背中を叩いてあやした。
「お、俺、の、」
「ん」
「知らない、こと、ばっか……っ」
やっと、思い至った。
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