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side.綾



俺には友達がいないから、朝倉さんと葵くんは、唯一の友達のようなものだった。
二人とも優しくて、色んな話をしてくれる。

ご飯と言っても、ピザやらチキンやら、まるでパーティのようで。
お菓子を食べたり、ジュースを飲んだり。

けれど、楽しいのは、束の間だった。



「だから、あの時のは俺のせいじゃねーだろ」
「そうだっけ?」
「お前な……記憶改竄してんじゃねぇよ」



わいわい、三人は楽しそうに話していた。

俺は唯一の未成年で、お酒も飲めない。
いつもは言葉少なな涼が、ちょっと饒舌になる、お酒。

俺よりも三人は、ずっと長い時間を過ごしてきた。
俺が知らない涼を知っていて、俺が知らない思い出を共有している。

仕方がないこと。
割り切るには、あんまり寂しかった。
俺の知らない涼が、そこにはいたから。

息が苦しくなって、思わず立ち上がった。



「綾?」
「ん……俺、ちょっと眠くなっちゃった。先に寝るね!」



水を差してはいけない。
俺は邪魔者になってはいけない。

この場にふさわしくないのは、俺だけだ。
涼の言葉を待たずに、寝室に逃げた。



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