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side.綾
夜がやってきた。
もうすぐ、涼が帰って来る。
足音が近づいて、ドアが開いた。
いてもたってもいられなくて、玄関に向かう。
「ただいま」
「おかえ、」
思わず、言葉が詰まった。
涼が一人で帰ってきたと思っていたから。
「久しぶり、綾くん」
「こんばんは」
涼の後ろにいたのは、涼の幼馴染の朝倉さんと、その恋人の葵くん。
二人の両手には、大量の買い物袋があって。
「途中で捕まった」
「一緒にご飯食べよ?」
葵くんがにっこり笑ってそう言うから、嬉しくなる。
大人数で過ごすのは、初めてだ。
「うんっ」
返事をすると、涼が少しだけ笑うのがわかった。
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