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「ちな、大丈夫?」
はくはく、と息をしていたから、思わず声をかけた。
達した後でぼんやりとしていた千夏は、けれど小さく頷いた。
「ゆ、じ」
きゅ、と首に腕を回され、抱き締められる。
千夏はまた、泣いているようだった。
「ちな?何で泣いてるの?」
「ぼっ……ぼく、ゆじ、が、いい、」
「え」
「ゆじ、いがい、いらない、どこにも、行かないで」
怖い思いをしたのに、全身で信頼してくれる。
愛しくて、俺も抱き締め返した。
「どこにも、行かない」
「ん、」
「今日は、ごめんね」
「ん……」
「眠たくなってきた?」
とん、とん、と背中を叩くと、千夏の身体から力が抜けるのがわかる。
少し腕を離すと、頬に涙を落として、眠っていた。
指で涙を拭って、少しだけ開いた口に、キスをした。
「おやすみ」
いつだって、千夏は俺の一番だから。
千夏にとっても、俺は一番でありたいのだ。
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