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「お前まだ馬鹿なことやってんの」
「………」



寒すぎるほど冷房の効いた喫茶店で、竜也に溜息を吐かれた。
僕は何も言えずにストローを噛んだ。

僕と航と竜也は、幼馴染だ。
もともと身体が弱かった僕を、航と竜也がよく助けてくれた。
航は昔から軟派な雰囲気だったけれど、それが僕にはかっこよく見えた。

僕は航と同じ高校に上がり、竜也だけ違う高校に進学した。
高校を卒業し、その時期に恋人という関係になった。



好きだ、と言う僕に、航は軽い返事で肯定した。
その日のうちに身体を繋げた。



「さっさと別れたがいいんじゃねぇの」



竜也と街でばったり出会って、店でお茶でもという時間。
いつだって竜也は僕のことを心配してくれて、それに比例するように、航のことを嫌いになっていくようだった。

もとから二人はライバルのように、ピリピリとしたところはあったけれど。



「うん……」
「このままだったら奈津が傷つくだけだろ」
「ん……でも……」
「……でも、好きって言うんだろ」
「……うん……」



竜也が呆れたような顔をした。

僕だって、馬鹿みたいだと思う。
航は僕と付き合いだしてからも、ずっと他の人と遊んでいた。
それでも『恋人』という関係をもらえたのは僕だと思っていた。
だからまだ、待っていられた。

ここ数カ月、ろくに一緒に過ごしていない。
ふらりと僕を呼びだして、一人暮らしの航の家に行っては、身体を繋げる。
それだけで、あとは何もない。



辛くないわけはなかった。
遊ばれているのだとようやく気付いた。

好きだけれど、もう、終わりにしようかと思った。
僕が縋り続けててはいけないと、そう、思った。



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