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「………」
寒くて目が覚めた。
ベッドの隣のぬくもりは、もう、なかった。
(……さむい)
ラグに置かれていたバイクの鍵も無くなっていた。
時計を見ると、夜23時。
こんな時間から外に出るなんて。
(……いつものこと)
きしきしと痛む身体を起こして、リビングに向かった。
想像を裏切らず、そこには誰もいなかった。
もう、一人よがりなのかもしれないと思う。
けれど手は離せなかった。
―――いや、縋っていた。
幼馴染、航と、そういう関係になって一年。
恋人とはもう、身体の繋がりしか残っていなかった。
別れた方がいいと、同い年の幼馴染の竜也に言われた。
僕はやっぱり、伝えることが出来なかった。
航のことが好きだった。
放っておかれても、浮気されても。
繋がりだけは、断ちたくなかった。
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