7
少し落ちついた様子の満月をベッドに乗せた。
昨晩のことを思い出したのか、またびくりと怯えたけれど、そのまま抱き締めて背中を撫でた。
「しないから、ごめん、怖がんないで」
「………」
「俺の嫉妬だった。昨日……満月がどんな思いで、野崎に相談してたか、知らなかった」
抱き締める力を緩めると、満月の大きな目にまた涙が浮かんでいるのがわかった。
零れ落ちたそれを指で拭う。
「花、ありがと」
「っ………」
「色々、考えてくれたんだよな」
冷蔵庫の中に入ったケーキ。
花に刺さっていたカード。
紙袋に入っていたアルバム。
声を出せない満月の、一生懸命な、言葉だった。
じ、と満月が無言で俺を見上げた。
ふふ、と笑ってしまう。
「嫌いになんかなってないよ」
言葉にならなくても、わかる想いがあった。
満月は驚いた様子で目を見開いた。
「顔見てたらわかる」
「………」
「迷惑だなんて、思ってないから」
「っ………!」
「好きだよ」
満月が、きゅっと俺を抱きしめてくれた。
全身から伝わるものは、言葉にしなくても、わかった。
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