6
がたんっ、と物が倒れる音がして、俺は目が覚めた。
閉められたカーテンの向こうは明るく、朝が来ているのがわかった。
隣にいたはずの満月の体温は、すでになかった。
はっとして身体を起こすと、寝室の床に満月が座り込んでいた。
「ッ……!」
俺と目が合い、怯えた顔をして、リビングに行こうとしていた。
けれど足腰は立てなくなっていて、叶わなかった。
俺がベッドから下りると、満月は息を詰めて後ずさった。
声は相変わらず出なかった。
俺が、怖がらせた。
「ひっ……」
恐怖でカタカタ震える満月を、構わず抱き締めた。
昨晩のように暴れないのは、それ以上の恐怖で身体が動かないからだろう。
胸がぎゅっと締めつけられた。
「ごめん」
言うと、びくっと満月の身体が強張った。
「勘違い、してた。昨日、満月と野崎が一緒にいるの見て」
「………」
「ごめん。ひどいことした」
少しずつ、満月の身体から力が抜けていくのがわかった。
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