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side.裕二



苦痛に顔を歪めながらもベッドから出ようとするので、慌てて止めた。



「どうしたの、休んでていいよ?きついでしょ?」
「や、やだ、する、ごめんなさい、ごめんなさいっ」
「ちょっ、どうしたの」



泣きながら謝り続けるので、咄嗟に抱き締めた。
千夏は拒否するように、腕を突っぱねた。



「大丈夫、謝らなくていいから、落ち着いて」



骨が浮き出てしまった背中を撫でると、ゆっくりと千夏は落ちつきを取り戻してきた。



「ぼ、ぼく」
「ん?」
「なにも、何もできない、僕は、ちゃんと出来ないから、いや、どこもいかないで、おねがっ……」



思わず抱き締める腕に力が入った。
想像していたよりもずっと、千夏に無理をさせてしまっていた。

きっと、寂しかったんだろう。
誰とも接せずに家にこもる生活が続いていたから。
ストレスで身体の調子が悪くなって、けれどきちんとしなければと、無理していたんだろう。

そんなことで、いらないなんて、言うはずがないのに。
千夏が不安になるには十分だった。



「よいしょ」
「!」



千夏を膝の上に乗せた。
お腹には湯たんぽを添える。



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