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side.裕二



久しぶりに仕事が早く切り上がった。

軌道に乗って絶好調なのはいいことだけれど、やはりプライベートでゆっくりしたいという気持ちだってある。
朝起きて、夜眠る前、ずっと千夏の寝顔しか見られなかった。

今日は、ぎゅっと抱きしめてあげよう。
たくさん笑わせてあげよう。

そう思って、ドアを開けた。



「ただいまー」



早く帰るとは言っていなかったから、驚くかもしれない。
いつものように玄関に迎えに来てくれるだろう。

そう、思っていたのに。



「げほげほっ、げほっ……」
「!」



聞こえてきたのは苦しそうな声。
慌ててトイレに向かった。



「ちなっ」



崩れ落ちるようにして、吐いていた。
壁についた手は小刻みに震えていた。

背中に手を添えると、それはびくりと反応して。
体温を忘れてきたように、身体は冷たかった。



「、ゅ、じ」
「ん、ただいま。きつい?我慢しなくていいよ」



嘔吐を促すように背中を撫でると、千夏はまた喉を震わせた。

いつからこんなに体調を崩していたんだろう。
ぎり、と奥歯を噛みしめた。



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