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side.朝倉



全く困ったものだ、と、俺はリビングの入り口で溜め息をついた。



着信があったのは今から約30分前のこと。
都築からのそれに、また桜木くんのことで何かあったかと電話に出た。



「もしも、」
『助けてっ……たすけて、涼、助けてっ……!』
「!?」



聞こえてきたのは桜木くんの声。
悲痛なそれに、慌てて答えた。



「桜木くんだよね?どうしたの?涼に何があった?」
『し、死んじゃう、涼がっ』
「大丈夫、落ち着いて。今からそっちに行く。状況を話してくれる?」



泣きじゃくりながらの話によると、都築が突然倒れてしまったようだった。
桜木くんのこともあったし、都築とは定期的に会っていたがーーー以前よりも痩せていた様子を鑑みると、精神的にも相当キていたらしい。

目眩か、過労か。

電話で指示を飛ばしながら、都築の家に車を走らせる。
その間にも、スピーカー設定をした携帯からは、桜木くんの泣く声が聞こえていた。

ーーーまるで、周りに関心がない状態だったのに。

驚きながらも、都築の家に入った。



「……わり、」
「………お前な」



ドアを開けた先のリビングには、ソファに寝転んで苦笑いする都築とーーーその上に抱き着くようにして眠る、涙で顔を汚した桜木くんの姿があった。



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