4
 

綾は、俺が大学に行っている間に行動しているようだった。

食事もシャワーも、俺がいない間。
作り置きしているものには手をつけず、自分で適当に食べるか買ってくるか。

痩せてしまうには十分だった。



「綾、」



目を合わせようとしないのは変わらない。
それだけ俺を信じ、そして、裏切りを感じたのだろう。



「ごめん」



遠くを見ているような目。

ベッドにぼんやりと座る綾の手を、そっと握りしめた。



「あいつとは話した。でも、必要以上のことは話してない。お前を、傷つけるようなことも」



何度も言った事実。
しかし綾にとっては、そんなことはよかったのだ。

結局は、綾に黙って岡崎と関わった、その事実がいけなかった。



「俺はあいつと金輪際、何もないし、お前にも何もさせない」



言葉として理解できても、事実として信じられるのは、別の話だ。



「……俺のこと、信じられない?」



ぴく、と手が動くのはいつものこと。




前へ top 次へ

 
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -