3
 

「悪い、朝倉」
「ん」



綾に点滴を付けた朝倉が、寝室から出てきた。
何か察したらしい朝倉は、何も言わずに俺の肩に手を置いた。



「身体的に別状はない。ただ、睡眠不足と栄養失調が重なって疲労が溜まってる。ゆっくり休ませて」
「………わかった」
「……何かあったら、すぐ連絡して」



何も言えずに、ただ頷いた。
朝倉は少しだけ笑って、部屋を出て行った。



寝室に行くと、綾は点滴を付けられてベッドに横になっていた。
ぼんやりと目を開けて、天井の一点を見ている。



「眠くない?」
「………」



綾は、一度も喋らなかった。
どこを見ているかわからない目をしているだけ。

食事だって、未だに取ろうとしなかった。



「……ごめん」
「………」
「お願いだから、俺のこと無視してていいから、無茶だけはすんな……」



聞いているのかわからないまま、綾は静かに、目をつむった。



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