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「っ」



ドアを開くと投げかけられる強い目が、とうとう失せた。



「綾っ」



床にうつぶせに倒れている綾に駆け寄った。
抵抗の様子を見せないのをいいことに、身体を抱き上げる。

ぐったりとしたまま、綾は俺の腕の中に収まった。
少しだけ目を開いて、けれど何かを諦めたように、もう一度目を閉じた。



強く抱きしめた。
細い身体が懐かしくて、こんなに細かったかと自問した。

けれど抱き返されることなく、綾の腕はだらりと床についたまま。
気を失っているのか、眠ってしまったのか。
どちらにせよ栄養不足は明らかで、今のうちにと身体を綺麗に整えた。



「………」



ベッドに寝かせて、額にかかった髪を払う。
真っ白な顔をしているその姿は、まるで死んでしまったかのようで。



「………ごめん」



言葉が少ないのはいつものこと。
きちんと話しておけば、傷つけることはなかった。

後悔だけが、その場に残った。



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