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side.綾
絶対に、直ちゃんには会ってほしくなかった。
何を言われたのかわからない。
何を教えられたのかわからない。
涼は俺にとって、大切で、だからこそ、直ちゃんには会わせたくなかった。
俺の知らないところで、俺の知らない涼が、俺の知らない直ちゃんに会う。
それ以上の恐怖はなかった。
俺の汚い姿を、涼が第三者から知るなんてこと。
そしてそれを、涼は教えてくれなかった。
俺に隠して、黙っていた。
それ以上の裏切りはないと思った。
それを知らずに、俺はへらへらと笑って過ごしていた。
もう、何を信じていいのか、わからなくなった。
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