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「っおれ、ね」
「ん」
「涼で良かったって、あのときの、思う、から……っ」



これ以上ないってくらいくっついてるのに、もっと、と言ってるみたいに、綾はぎゅうぎゅう抱きついてきた。



「だからね、いてね、ここに……どこも、行かないでね……」
「何回言ってんの、俺そんな信用ない?」
「だっ……だって、ふらふらしてる、しっ……ご飯食べないし、煙草っ、吸うしっ……」
「………あー……」



自分で納得してしまった。
ふらふらしてる、とはよく言われる。



「どこも行かねぇから。今までおいてったこと、ないだろ」
「ほんと、に……?」
「ほんとほんと」
「っ……2回言った」
「本当です」
「……うん」
「っ……!」



なんて、幸せそうな顔するんだろう。
はにかむような、笑顔。

今まで信頼した人に、裏切られてきたから。
だから、俺は、絶対に。



「ずっと、だよ」
「ずっと、な」
「うんっ」



この笑顔を、壊したくない。



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