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一緒にいて、なんて可愛いお願い。
聞けないわけがなかった。
「身体、きつくねぇ?」
身体を冷やさないように服を着せて、ベッドに潜ってそのまま抱き締めた。
俺がいなくならないようにか、不安な気持ちがなくならないのか、きゅっと服を掴んでくる。
その指先が微かに震えているのに、気が付いた。
「ん……だいじょ、ぶ」
「……こっちは?」
「っ……」
とん、と心臓あたりを叩くと、びくりと震えた。
「もうちょい落ち着くまで、このままな」
「ん……」
ゆっくりゆっくり、背中を撫でてやると、次第に綾の呼吸も落ち着いてきた。
「ごめん、ね……」
「?」
「おれ、こんな身体で、ごめんね……」
綾が見つめる先は、自らの手首。
傷だらけのそこを、軽蔑するような眼差しで見ている。
「もっと、きれいなのが、良かった……」
つ、と指でなぞる鎖骨には、煙草を押しつけた火傷の跡。
まわりに走る引っ掻き傷。
何度も、綾を傷付けた、傷。
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