3
 

一緒にいて、なんて可愛いお願い。
聞けないわけがなかった。



「身体、きつくねぇ?」



身体を冷やさないように服を着せて、ベッドに潜ってそのまま抱き締めた。
俺がいなくならないようにか、不安な気持ちがなくならないのか、きゅっと服を掴んでくる。
その指先が微かに震えているのに、気が付いた。



「ん……だいじょ、ぶ」
「……こっちは?」
「っ……」



とん、と心臓あたりを叩くと、びくりと震えた。



「もうちょい落ち着くまで、このままな」
「ん……」



ゆっくりゆっくり、背中を撫でてやると、次第に綾の呼吸も落ち着いてきた。



「ごめん、ね……」
「?」
「おれ、こんな身体で、ごめんね……」



綾が見つめる先は、自らの手首。
傷だらけのそこを、軽蔑するような眼差しで見ている。



「もっと、きれいなのが、良かった……」



つ、と指でなぞる鎖骨には、煙草を押しつけた火傷の跡。
まわりに走る引っ掻き傷。

何度も、綾を傷付けた、傷。



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