4
side.綾
その声が耳に届いた瞬間、夢かと思った。
「っ……もっかい、言って……」
「……もう言わねーよ」
「やだ、もっかいっ……」
ちゃんと、聞きたい。
「……好き、」
耳元で囁く。
喉でごろつく、低くてどこか優しい声は、都築のもの。
「……うそ、」
「嘘でんなこと言うか」
「だって、おれ、」
「じゃなきゃこんなことしてねーよ」
ゆら、と腰を揺らされて身体が震えた。
「おれ、汚い、しっ……我が儘で、ずるい、」
「いい」
「っ……」
「お前が、いい」
涙が、零れた。
「おれもっ……すき、都築がいっ……」
「っ……」
「すき、だいすき、都築……っ」
深く、唇が重なった。
前へ top 次へ