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「薬飲も、な?」
「んっ……」
睡眠薬と、精神安定剤。
サイドテーブルに置いたそれを取って、
「や、っああぁあ―――!」
携帯電話が、鳴った。
寝室に音が響いた瞬間、桜木が耳を押さえて蹲った。
「桜木っ……」
「や、くるっ、迎えにっ」
咄嗟に、電話を切った。
震える桜木を抱き締めて、頭や肩、背中を撫でる。
「迎えにきても、俺は追い出したりしないから」
「っ……都築、っ」
「ほら、口開けて」
少しだけ開いた口に、俺のそれを重ねた。
錠剤を自分で飲めない桜木に、口移しで流し込む。
静かに嚥下したのを確認し、薬が効いてきたのかとろんとしたのを見て、ベッドに寝かせた。
「……ん……」
目が瞑って、一つ頭を撫でた。
きっとまた、目が覚めるんだろう。
放置したままの携帯をとって、着信履歴を見た。
「………!」
―――着信:桜木
落としてしまったと聞いた、桜木の携帯だった。
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