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「かはっ……けほ、げほっ」
「………」
「は、ぁっ、はっ……」
吐き続ける桜木の背中を、黙って擦った。
あれから、桜木は目に見えて衰弱していった。
食事が喉を通らなくなった。
元々華奢だった身体がさらに細くなり、その姿は痛々しい。
夜も寝付けず、ようやく寝たと思ったら泣いて飛び起きた。
「けほ……っは、はふ、っ……」
「ちゃんと息しろ、」
「はぁっ、あ゛、」
震える手で、裾を掴んでくる。
それさえも、痛々しい。
ひとしきり吐いて、ぐったりした桜木を抱き抱えた。
ベッドに下ろしてやり、顔色を伺う。
「は、っ……あ、う」
「っ……馬鹿、手離せっ」
「やーっ……!」
ぎりぎりと、自分の手首に爪をたてた。
毎日のようにつけられる傷は癒えることなく、傷に傷が重ねられた。
「落ち着け、俺、わかる?」
「あ、……つ、づき、っ……」
「ん」
やんわりと未だ力の入る手を押さえて、背中を撫でた。
最近ずっとこの調子だ。
大学も休んでいる(そもそも真面目に行く方ではなかったけれど)。
正直、どうしたらいいのか、わからない。
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