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side.綾
つっかえながらだったけど、俺は、今日あったことを都築に話した。
なおちゃん、岡崎直。
俺の2つ年上で、小さいときから一緒の施設で育った。
かっこよくて、施設の中でも年長だったから、みんなに慕われてた。
付き合いも長かったし、俺となおちゃんは、本当の兄弟みたいだった。
高校にあがったくらいの頃。
元々女顔だった俺は、自分でびっくりするくらい、顔の変化があった。
その頃から、変な男に付き纏われたりした。
俺は、初めて、なおちゃんに犯された。
すべて、呪われた顔のせいだと思った。
嫌がると、喜ばれた。
笑いながら殴られて、泣かされた。
泣くと、また喜ばれた。
なおちゃんだけじゃなかった。
高校の人や、他の施設の子からも、同じ。
『綾、急に可愛くなるから』
『我慢できなくなった』
俺は、色んな人に裏切られた。
なおちゃんは2年先に施設を出た。
それから会っていなかった。
今日、本当に、久しぶりになおちゃんを見た。
忘れようとしたのに、あの初めての日を、思い出した。
「だから……ね、俺……」
「……眠たいだろ、寝な」
「ずっと……ここ、に……」
―――安らぎをくれた、都築の傍に。
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