1
side.綾
前探してたバイトは、結局都築に止められてしないことになった。
申し訳ないのに、都築は「いるだけでいい」って言ってくれるから、なんだか甘えてしまう。
その代わり、家事は頑張ってるつもりだ。
今も、買い出しに行く途中。
都築は放っておくと、ご飯食べないからなぁ……。
「……?」
昼間、大通りはやんわりと賑やかだった。
都築と同じくらい、だろうか。
この時間帯に私服ってことは、それくらいなはず。
「……でさ、……」
「っ……!」
目の前からやってくる、四、五人の男。
わいわい喋っている中で、聞こえた、あの声。
―――なお、ちゃん
2年前に見た姿から、少し、大人びていた。
何でここに。
なおちゃんが施設を出てから、合ってなかったのに。
ここは施設からも遠いのに。
……偶然?
目が合う、?
「っ!」
咄嗟に、その場から逃げた。
吐き気がこみあげた。
前へ top 次へ