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「……寝相いいか?」
「はい、じゃ俺こっちね」
有無を言わせぬ様子で、寝室まで手を引かれた。
そのまま桜木は左側にぽすん、と倒れた。
「……あのなぁ」
「?寝ないの?」
いや寝るけど眠たくないわけじゃないけどその前提条件として何かがズレてる気がしないでもなく……。
どうしたもんかと突っ立っていたら、すぅ、と桜木が眠りについた。
右側にぽっかりと、隙間をあけたまま。
「……はぁ」
もそもそと、俺も布団に入った。
……そして現在。
少し離れて眠っていたはずなのに、暖をとるように、桜木が身を寄せてきた。
ん、と声を漏らすと、俺の鎖骨あたりに息がかかる。
(……眠れるわけ、ねーだろ……)
警戒心がなくなったのはいいが、なくなりすぎるのも困りもんだ。
仮にも同居人ってだけだけれど、整った顔や甘えた態度に、戸惑わないわけない。
普段なら戸惑いですんでも、寝呆けていたら何をしでかすか、自分でもわからなかった。
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