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side.綾



「え、何これ、林檎ちっちゃい」
「おま、それはデザート!飯食え」
「イカ焼きが飯って……いーの、俺甘いのが好き」



強く言えば、都築は何もいわない。
仕方ないなって、笑うだけ。
だから俺は、ちょっとだけ我が儘になる。



「……都築」
「なに」
「……何で、その……キス、とか、すんの」



前にも聞いたことがある。
そのときの答えは、「したいと思ったから」とか言う、今考えればわけわからんもの。



「ねぇ」
「……わからん」
「は?」
「なんつーか……うん、なんとなく……よくわからん」
「……殴っていい?」
「なんか、うーん……ほら、今とか、そうかも」
「え」



頭を掴まれて、覗き込まれるように顔が近付いた。



「な、なっ……」
「じゃ、なんで嫌がんないの」
「っ……!」



ふざけて、からかってるんじゃない。
目が、真剣だから。



「ほら、なんで」
「…………都築、だから……?」
「………ばーか」



ちゅう、とわざと音をたててキスされた。

好きとかどうとか、よくわからない。
ただ、今の心地いい世界を、壊したくない。



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