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side.綾



どこ、行ったんだろ。
考えてる間に、花火が次々とあがった。

施設にいた間は、まだ幼くて、小さなお祭りくらいしか行ったことがなかった。
一人で出歩けるようになったらなったで、俺の身の回りのせいで、外に出るのが怖くなっていた。
だから、打ち上げ花火も、大きな祭りも、初めてだ。

俺、幸せなのかもしれない。
都築の傍は、こんなに安心する。
どうしたらいいんだろう。
この空間を大切にしたくて、



「………ひ、ぁっ」
「……すっげー声」



ぼんやりして気付かなかった、都築が戻ってきて、頬に冷たいものがあてられた。



「……かき氷。……と、」
「ジュースとイカ焼きと焼鳥と箸巻。デザートは綿菓子と林檎飴」
「買いすぎじゃん」
「腹へってんだよ、どっかの誰かのせいで」
「………」
「ほら、食べれば」



溶けるからこれが先な、とかき氷を渡された。
シャクシャクと氷を掻き混ぜる音が、耳に心地いい。

走って、買ってきてくれたのかな。
俺が人混み苦手なの、知って。
……いや、単に自分が腹へってるだけなのかも。



「桜木、舌だして」
「?」
「うわ、あっか」
「都築緑じゃん、宇宙人」
「発想がガキ」



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