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side.綾
久しぶりに、涼に触れた。
目を覚ますと、目の前に涼の顔があって。
何日かぶりに見た寝顔に、なんだか泣きそうになった。
倒れていたときのとは違う、柔らかい表情だった。
良かった、と思った。
涼が倒れているのを見て、ぞっとした。
涼がいなくなると思った。
死んでしまうと思って、冷えるようで、やっと、気付いた。
裏切られてもいい、と思った。
涼になら何をされてもいい、と思った。
傍にいてくれるなら、俺は何でもする。
裏切られても、涼なら、いい。
そう思った。
「腹、減ってない?」
変わらない、優しい声。
寝起きで少し掠れた声。
今は何もしたくなかった。
離れていた分、涼に触れていたかった。
涼に抱きついて、身体にぐりぐりと頭を寄せた。
頭上で笑う声がして、涼も抱きしめてくれた。
首元に顔が埋められて、吐息が少しくすぐったい。
「……すき」
涼の小さな言葉に、また泣きそうになった。
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